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2006年12月01日

竹ノ輪インタビュー #1 寺内 誠

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寺内 誠 TERAUCHI Makoto / 画家


1980年東京都生まれ。2004年、東京藝術大学絵画科油画専攻卒業。
2006年、東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻油画終了。
2004年、東京藝術大学の卒業制作展(東京都美術館)に出展した作品は、江戸川学園取手中・高等学校が卒展のなかから優秀な作品を買い上げる紫蜂賞を受賞。
同年「トーキョーワンダーウォール公募2004」(東京都現代美術館)にてトーキョーワンダーウォール賞受賞し、翌2005年には、東京都庁舎で開催される「トーキョーワンダーウォール都庁2004」に出展。
その後も、グループ展などの活動を続け、アートをより身近に感じてもらえる機会を提供するため、2006年11月「封筒の中のギャラリーVol.1」としてハガキサイズの作品を発売。

Persons第1回目は、画家の寺内 誠さんです。

写真をご覧いただければお判りのとおり、文句なしのイケメンです。初めてお会いした際には、この驚異のイケメンっぷり&とても静かな物腰に驚き、さらに作品集を拝見しながら写真かデジタル作品だと思い込んでいた私は、今目にしている全ての作品が油絵(当然、手描き)だと聞かされ、またもや驚いたのでした。この度、竹ノ輪で寺内さんの作品を販売させていただくこととなり、画家の道を決意した経緯やこれからの活動を伺いました。

Interview


「どっぷり体育会系でした」

――まず最初に、画家になった経緯から教えてください。

ありきたりなんですけど、大分遡って幼稚園ぐらいの頃から絵を描くのが好きでした。キン肉マンとかのキャラクターを描いて友達にあげていたら、結構評判が良くて。それで調子に乗って、子供ながらに自分は結構絵が上手いんじゃないかと。(笑) 家族も昔から褒めてくれていたので、自然と絵に対する自信を持つようになりました。その後、単純に絵が好きだなという時期が続いて、将来、絵の方に進もうと具体的に考えたのは、高校に入ってからです。中学高校とバスケットボールを部活動でやっていまして、結構体育会系な感じでやってたんです。レギュラーでキャプテンでした。本当にどっぷりです。(笑) その間も、ずっと絵を描くことは好きで、たまに、近所の知り合いの方にチラシの表紙を描いて欲しいと頼まれて描いていたり。

部活動を引退してから、将来どう進むか真剣に考えたときにやっぱり絵の道で行きたいとまず思って、勉強もそれなりに頑張っていたんですが、先を見たときに、絵を趣味としてやっていって満足するかと考えたときに、絵を本業にしたいという思いが強くなって、高校3年生のとき、部活を引退してから美術予備校へ通いはじめてから、絵の世界にどっぷりと入っていきました。 今でもバスケは、休みの日にたまに高校時代の先輩のチームに混ぜてもらって趣味としてやっています。ポジションはPGです。一応、司令塔という立場ですが、全然機能を果たしていない。そもそもが身長的に、それ以外できないんです。(笑)

「僕は絵しか興味がなかった」
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――大学に入学してどうでしたか?

大学に入ってみると、油絵以外の制作をしている人が多くて、油絵を制作しているのは、半分ぐらいでした。それ以外の方は、写真や映像など全く違う分野をやっている。他の大学でもそういうところ多いと思うんですけど、油絵科っていうのは、「何でも科」みたいなところなんです。(笑)日本画科とかデザイン科となると専門的になるんですけど、油絵科に関しては、別に油絵を描かなくてもいいよっていう感じ。

僕は絵しか興味がなかった。大学に入りたての頃は、いろんな方向から絵画に対して考える中で、他のメディアを使った授業などがあったりして、段々そっちに興味を持つ人がいたり、先生方も柔軟に幅広く色々やらせたいという思いがある方もいらっしゃるので絵を描かなきゃいけないという状況は段々薄れてくる。 逆に僕は絵をやろうとして入って、絵以外に興味がなかったので、そういう環境の中で最初のうちはあんまり馴染めなくて、大学入学したばかりのころは、あれ?この道で良かったのか?と悩んだり、悶々とした時期が1年ぐらいありました。段々と、まぁ自分がやりたいことをやればいいやと考えられるようになってから、どっぷり絵にハマるようになりました。学部の2年ぐらいになってから、自分はこの道でいくぞと。

――大学時代の活動は?

学部のときにはコンクールには出品しなかったんですけれど、学内のグループ展などで活動をしていました。観てもらわないことには、どうにもならないので、やっぱり外に向けて伝えていかないと意味がない。学園祭とかで積極的に発表するカタチをとっていました。 比較的大きいものを描き始めて、一番大きかった作品は卒業制作ですかね。横2メートル20センチぐらい、縦が1メートル60~70センチというサイズのものを描きました。それは今、茨城県の学校に買い上げていただいて、そちらで保管していただいています。

「薄い絵の具を何層も何層も重ねます」
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――「油絵」と一言で云ってもネットでは伝わり辛いと思うんですが、寺内さん特有の描き方などありますか?

油絵って素材自体が、いろんな表現をできるものなので本当に幅広いんですけど、僕はどちらかというと凄いフラットな作品をつくっています。一般の方はゴッホのような表面がごつごつした感じをイメージすると思うんですけれど、全然それとは違って、かなり薄い絵の具を何層も何層も重ねて描いているので、最終的に絵の具を重ねた分だけやや厚みが出ますが、表面はあくまでもフラットに近い感じで仕上ています。一般的な所謂<油絵>というイメージとはかなり違うかも知れないですね。

――それは珍しい手法なんですか?

逆に古典絵画にはそういう技法がありました。本当に古くからある伝統的な技法です。それが時代が経て色々な技法が出てくる中で、その手法に対するイメージが薄れてきたんだと思います。ある程度自己流なので伝統に則ったものではないですが、ベースとしては薄く絵の具を重ねていくのは<グレース技法>などと云われます。凡そ1400年~1500年頃(※1)に確立されているはずです。日本に本格的に油絵が入ってきたのは、ずっとあとで、明治時代になってからですね。

予備校時代に、受験絵画ということで油絵の色んな技法を試すんですが、それらの技法の中で如何に表現するかを試行錯誤してました。色々試した中で、最終的にあんまりテクニックに走りたくないなという思いがあって、大学に入ってからも、テクニックがあんまり表に出るような感じが嫌だなと。最終的に見た感じだと、あまり色んなことをしていない表面にしたいなと考えるようなりました。余計な要素を入れたくないというか、イメージとして捉えて欲しい思いが強くなって、それで段々削ぎ落とすようになりました。根本的な、基本的な技法だけでずっとやっていきたいと。

――年間どのくらいの数の作品をつくりますか?

あんまり手が早い方ではないので・・・。大きい作品に取り掛かると、何ヶ月も掛かります。先ほどの卒業制作は、3ヶ月ぐらい掛かってました。年間10枚とか20枚描ければいい感じかと。 今は基本的に小さい作品を一杯つくろうと思っています。 2007年の4月にグループ展があるので、それに向けて制作しています。大体ハガキサイズぐらいの作品とか、もう一回り大きいものとか、小さいものを制作しています。

――今回の「封筒の中のギャラリー」もそうですが、「小さい作品」をつくろうと考えた経緯は?

学外でやったグループ展で初めて幕内さん(※2)にお会いして、そのあとも1・2回作品を観ていただいていて、 2006年5月に銀座でやったグループ展でじっくりお話しする機会がありました。その時に、幕内さんから「封筒の中のギャラリー」のアイディアを伺って、面白いなと思いました。その場では別に具体的な話にはならなかったんですけど、すこし経ってから幕内さんから改めてご連絡いただいて、「この間の話なんだけど・・・」ということで、具体的な話を頂きました。

作品を観ていただく場というのが、普段はギャラリーでの展示だけだったので、僕自身も、どうにかしてもう少し色々な人に観ていただける機会があったらいいなという思いがありました。そんな時に、幕内さんからこのお話を頂いたので、ちょうどいいタイミングでしたね。まずは、気軽に手軽に触れて欲しいです。試みとしては、とても良かったかなと。ひとつのカタチになるってことは重要だと思いますから。手にとって欲しいですね。

「ただひたすら制作していきたい」
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――今後の展示予定は?

2007年4月の「アートフェア東京」というのが東京国際フォーラムであります。色んな画廊が集まる結構大きなグループ展なんですけど、画廊さんから声を掛けていただいたので、出展させてもらえることになりました。 日本における画廊のタイプは2つありまして、企画画廊と貸し画廊というのがあるんですね。貸し画廊というのは、作家が場所代を支払って一定期間展示させてもらうスタイルで、企画画廊というのは、画廊さんから作家に声を掛けていただいて、場所を提供していただけるんですが、この「アートフェア東京」は企画画廊だけが集まります。なので、画廊が集めた作家が集まります。大規模なグループ展で、画廊によってブースがあって、アートの見本市みたいな感じですかね。

普段は、自分で足を運んでギャラリーを回らないと作品を観られないですけれど、この「アートフェア東京」では、一同に会するので中々ない機会かと。一般の方も入場できます。出展している画廊は、基本的に東京が多いですが、全国から集まります。(※3)現代美術など日本を代表する画廊が集まり、古美術もあるので、日本のアートシーンが凝縮されています。賞などはないですが、そこで展示販売もします。

そのフェアの翌々週には、銀座で友達4人でグループ展をやります。 とりあえず、もうドンドン作品をつくりためて、その中からボツも出てくるので、作品の量もある程度ないと。

――ボツってあるんですね!?

制作が途中まで進んだ段階で「あっ、ちょっとこれは違うな・・・」ってなって。と云っても、最終的には観て欲しい!という思いがあるので、ある程度試行錯誤しながら何とか頑張ろうとするんですが、やっぱりこれは無理だな、ちょっと出すのは控えようという作品も中にはあります。

――今後の展開は?

まずは、4月のフェアに向けて作品をつくりためます。あとは、日本の建築空間にマッチするサイズというのがどうしてもあると思うので、より身近に手にとってもらうためには小さいサイズも重要だと考えています。あんまり大きい作品だと、どうしても手にするというのは無理だと思うので。 そこは自分の中でバランスとって、大きいサイズ描いたり、小さいサイズ描いたり。どっちかやっていると、どっちかやりたくなるので。(笑)

とりあえずは、もうとにかく作品をつくり続けたいというのが一番の願いですね。大学院を卒業して、社会に出てから未だそれほど経っていないので、具体的に見えてないことが多いのですが、先輩方の話を聞くと、作品をつくり続けることが大事だと。どういう状況でも制作を続けていくことが重要だと、どなたに聞いても共通する意見なので。続けていくことによって次の展開が見えてくるという、その繰り返しかと思うんですけど。ただひたすら制作していきたいという思いが今は強くあります。 1点ものの作品だけとなると、どうしてもひとつの作品に対する関わり方が限られてしまうので、もう少し広く、少しでも多くの方に手軽に楽しんで頂けるようなことも今後は引き続き考えていきます。

「まずは気楽に」

――モニターの向こうのお客様にメッセージを。

今回「封筒の中のギャラリー」として、身近に手にとっていただけるような作品を作らせていただいたので、最初はこういうところから気軽に僕の作品を観ていただいて、実際に僕の作品を観て頂ける機会があった際には是非足を運んでいただきたいと思います。なので、最初のキッカケとしてこういった作品から気楽にアートに触れていただけると本当にありがたいです。 是非宜しくお願いいたします。 何だか上手く云えてないですけど・・・。(苦笑)

あと、自分の作品では「透明感」ということを大事にしています。僕の作品が持つ透明感という特徴が、この「封筒の中のギャラリー」では上手く表現されていると思います。 繰り返しになりますが、まずは気楽に観ていただければ嬉しいです。

どうもありがとうございました。

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2006年12月 於:(株)デザインシステム

・rearward ©2006 TERAUCHI Makoto
・in the shadow ©2006 TERAUCHI Makoto

※1:油絵が確立した1400年~1500年頃の日本は、1336年~1573年室町時代。重ねて1467年~1568年戦国時代突入し、1573年~1603年安土桃山時代。徳川幕府が治めた江戸時代が始る直前、まさに乱世の時代でしたが、この頃日本においても「侘び・寂び」と云われる文化が登場。観阿弥・世阿弥が能楽を大成させたのもこの頃。また、安土桃山文化には、豪商が成長し、豪華で大掛かりで、華やかな文化が生まれ、南蛮貿易の影響で、小規模ながらも日本が初めて西洋文化と直接触れ合った時代でした。

※2:幕内さんとは、「封筒の中のギャラリー」を生み出した仕掛け人。都内のギャラリーを自転車でひたすら巡り続け、ex-chamber museumというブログでレビューを綴り続ける自転車ライダー兼アートライター。そして、6弦ベースを操るベーシスト。

※3:先鋭的な現代アートから、近代洋画、日本画や浮世絵など日本固有の芸術、そして古美術・工芸まで、アートフェア東京はジャンルを越えて、本物のクオリティーを求める方々のために、世界中から約100の選りすぐりの画廊がトップクラスのアートを展示販売する日本最大の見本市です。(アートフェア東京ホームページ「ごあいさつ」より抜粋)

協力:(株)デザインシステム、幕内 政治(ex-chamber museum)
写真撮影:松永 直子
取材・文:竹村 圭介

Keywords


寺内 誠さんを知るキーワードをピックアップ。

keyword.01 「キン肉マン」

画家の寺内さんが幼稚園の頃に描いていた絵は「キン肉マン」のキャラクター。寺内さん曰く「子供の頃、キン肉マンのキャラクターを友達に描いてあげて結構評判良くて。自分は結構絵が上手いんじゃないかと。(笑)家族も昔から褒めてくれていたので、自然と絵に自信を持つようになっていました。そうやって、子供の頃は、単純に絵が好きな時期が続きました。・・・」とのこと。みなさんも子供の頃には、何かしらのキャラクターを描いていた記憶があるのでは?ちなみに私はロビンマスクとウォーズマンが十八番でした。あとはドラゴンボールとかガンダムとか。ピッコロやニューガンダムが上手く描けると、「俺って結構上手いかも」なんて密かに思っておりましたが、画家にはなれませんでした。まだ子供だった頃の寺内さんが描いた「キン肉マン」のキャラクターを<喜んでくれた友達>や<褒めてくれた家族>の存在が、寺内さんを知る大切なキーワードなのかも知れません。

※「キン肉マン」は、集英社の漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」において、1979年から1987年まで連載されていました。©ゆでたまご/集英社・東映アニメーション・テレビ東京

keyword.02 「絵しか興味がなかった」

進路を決めた際には「絵以外に全く興味がなかった」とキッパリ。凡そ半分の学生が絵を描かない何でも科=油絵科の様子に一時期戸惑ったものの、大学院へ進み、卒業された現在も絵の世界を突き進んでいる寺内さん。目に映るもの全てに興味を持ってしまう私とは、全く異なる性質をお持ちです。そんな寺内さんとお話しできたことは、とても新鮮で、大変楽しい時間を過ごすことができました。絵のお話しになると、自然と目に力が宿るのが判ります。あっ、これが<覚悟>なんだなと。私も、これからより多くの素晴らしいクリエーターやアーティストの方々のお話を伺えるよう、<覚悟>して精進せねばと強く思うのでした。

keyword.03 「多くの人に観て欲しい」

以前より、ギャラリー以外でもより多くの人に作品に触れて欲しいと考えていた寺内さん。今回、ex-chamber museumから「封筒の中のギャラリー vol.01 寺内 誠」を発売。また、竹ノ輪でも「竹ノ輪企画展」に参加していただくことが決定。2007年7月(予定)に<日本の花>をテーマとしたオリジナル作品を発表していただけることになりました。今後も、展示はもちろん、それ以外の手段でも数多くの作品を発表されていかれることでしょう。アートをより身近に。そういった思いを大切にされている寺内さんを、竹ノ輪は応援しています。

Works


寺内 誠さんが今までに制作された作品の一部をご紹介。

passing flowers
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2006 パネル、綿布、白亜地、油彩 318×410 mm

chandelier
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2006 パネル、綿布、白亜地、油彩 333×242 mm

other side
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2006 パネル、綿布、白亜地、油彩 220×273 mm

flowers
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2006 パネル、綿布、白亜地、油彩 180×140 mm

「封筒の中のギャラリー vol.1 寺内 誠」
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2006 紙、OHPフィルム 233×160 mm ※edition:80